一緒に暮らすって、難しい

ゲイの大塚隆史さんが、40年に渡って男性同士のパートナーシップを築き上げるために奮闘を続けることでわかった、二人で生きるためのコツを伝授します。
全てが経験に裏打ちされていて、説得力があります。
タイトルに惹かれてこの本を読み始めたのですが、大塚さんがゲイだと最初に書いてあって少しびっくりしました。
男女がどうやってうまくやっていくかを書いてある本だと思ったからです。
しかし、二人で生きる=男女 と即座に連想してしまうのは、このご時世ではもう古い考え方なのかもしれませんね。
実際、異性のカップルに対しても参考になることがたくさん書いてあり、とても参考になります。またゲイカップルの実際についても知ることができて、面白いです。
長く付き合う秘訣
付き合い始めには、二人の人間はお互いに向き合っているものだけど、ある程度の時間が経ったら、二人で同じ方向を向いていくことが大切なんです(p90)
これ、なかなか深い言葉ですよね。
私はその域に達することができるだろうか、相手の見ているものを自分も一緒に見ることができるんだろうか…と考えてしまいました。
私は基本的に人のことはどうでもいいたちなのです。
どうでもいいからこそ干渉せず、それなりにうまくやってきたことも否めませんが。うーん、難しい…
なぜ人は一緒に暮らすのか
便利っていうのもホント。淋しくないからっていうのもホント。もちろん大好きだし…。でもね、そういうのを言った後に、全部言い切ってないなぁ、なんか言い残してるなぁっていう感じが心の奥の方にあるの。その、言葉にし難い何かがタックと付き合っている理由だと思う。それがあるうちは大丈夫なんじゃない?(p16)
なんで僕と一緒に暮らしてるの?という大塚さんの問いに対する、パートナーの返事です。これも深いなぁ。
この「言葉にし難い何か」こそが、二人の生活を素晴らしいものにしているのだそうです。
あえて言葉にするならば、「愛」でしょうか?
もちろん、愛のある生活はとても素晴らしいものだけれど、大塚さんは異様なまでに「一緒に暮らす」ことに執着し、血の滲むような努力をします。
私は結構冷めているので、すごいなぁと思ってしまうのですが、大塚さん的には愛する人と一緒に暮らすことが理想であり、それを追い求めるのが趣味みたいなものなんだそうです。
それを読んでちょっと納得しました。
例えば山登りが趣味の人に、なんでそんな疲れることをわざわざやるのか、と聞くのはちょっとナンセンスな気がします。
その人は、山を歩くこと、景色を見ることなどが心から好きだから、少しくらいつかれようと楽しんでやるはずです。
だから、一緒に暮らすことも自分の好みに照らし合わせて、気に入ればやればいいし、二人の暮らしが好きじゃないなら無理してやることもないのかな、と少し気が楽になりました。
大塚さんは今60歳を過ぎていらっしゃいます。
パートナーシップを極めた人生の先輩として、大変参考になるアドバイスが満載ですよ!
