東大生の読書ライフ

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東大生による書評ブログ。

可愛い表紙の本

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「ふる」(西加奈子、2012年、河出書房新社

 

表紙が可愛いくて、つい手に取ってしまった一冊。

時々、こういう本の選び方をします。

普段なら読まないような内容だったり、可愛い表紙にもちゃんと内容とリンクした意味があったりしてなかなか楽しいです。

(せっかくの可愛い表紙なのに、光ってうまく撮れませんでした…是非、現物を手に取って見てください( ´ ▽ ` ))

 

自分が他人にどう思われているかを過剰に気にしてしまう、主人公の花しす(かしす、と読みます)。

1日の会話のほとんどを録音し、深夜に一人で聞き直して復習するという変な癖を持っています。

 

みんな、自分のことは、忘れて欲しくないんだ。でも忘れられて、忘れて、そして今を生きてる。あなたは、誰かと能動的に関わってゆくことが、忘れられない確かな方法であるということを知っているはずだ。でも出来ない。出来ないから、せめて、記録しておこうとしている。(中略)みんな、自分が好きなんだ。でも、愛があれば、誰かを愛してるって、強い気持ちがあったら、その人を傷つけることは、怖くなくなるはずなんだ。(p224〜225) 

 

うーん、そうでしょうか。

確かに、愛の名の下に人を傷つけることは怖くはないのかもしれないですね。

 

それだけに、故意に傷つける以上に無自覚だから、気をつけなくてはならないんじゃないかな、と私は思います。

 

私は「愛してるから」というエゴで傷つけてくる人は嫌いだし、私自身も独りよがりな愛を押し付けることがとても怖いです。

 

しかし、どんなに怖くても、人は人と関わらないと生きてゆけない。

この小説は「祝福」という言葉で締めくくられています。

正直意味はよくわからなかったのですが、ジレンマを抱えながらも、あなたの前途に幸あれ、頑張れ、というエールかな?と私は受け取りました。

  

 

 

小説っていろんな解釈がありますよね。

私は鈍感なのでトンチンカンな読みをしてしまうことも多いのですが、自分の経験とリンクするような部分があると、パッと意味がわかったりすることもあります。

そんな時はちょっと嬉しいですね。

 

普段は小説を全然読まないのですが、なんだか最近は人生に悩んでいて(?)小説を読みたい気分です。