東大生の読書ライフ

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東大生による書評ブログ。

戦場にいるのは、人間。

 

戦場でメシを食う (新潮新書)

戦場でメシを食う (新潮新書)

 

 

フリーで活躍する戦場ジャーナリストの佐藤和貴さんが、戦場で食べる「メシ」にフォーカスして書いたエッセイ。

戦場で見た、人間の本質とは。

 

戦場でも、人はメシを食う

「チャイだ。チャイを持って来い」部屋の中にいたものたちに、小隊長が怒鳴った。「お茶」を持って来いと言っているのだ。確かに30分ほど炎天下の中を砲弾と銃弾にさらされてきたのだ。喉がカラカラなのは当然である。だが、ここは戦場。ましてや最前線なのだ。まさか座布団に座ってお茶を飲もうとは。(p54) 

 どんなに切迫した状況下でも、生き物であるからには人は飲み食いします。

筆者こそびっくりしていましたが、アフガニスタンの戦士たちは冗談を言いながらお茶を飲む余裕っぷり。

人間、どんな状況にも慣れるんですね。

 

市民には生活がある

為政者たちは人々の喜びそうな大義を見つけ出してきては人々を先導し、武器を取らせ戦場に駆り立てている。だが、多くの人は、胡散臭い大義などどうでもよく、始まってしまった殺し合いに巻き込まれてどうすることもできず、ただ、一番身近な親や妻、そして子供を守るため戦わざるをえないのだ。(p104) 

本当は市民だけでなく、為政者にも敵にも、全ての人に生活があります。

でも、戦争がそれを見えなくしてしまうんですね。

 

紛争はなぜ起きるのか 

この紛争の原因が、宗教や民族の違いにあるという図式、または、方程式があれば見やすいし解きやすいのかもしれないが、一概にそうとは言いがたいのである。(p106) 

生まれる場所が数kmずれていたら自分だって違う国の国民なのに、なぜはっきりと境界を作って憎み合い、殺し合うのでしょうか。

隣国ならば地理的な境界こそあれ、実際には民族も宗教も入り組んでいたり、どっちつかずの人もいることでしょう。

 

まとめ

佐藤さんは歴史が動く瞬間に立ち会いたいという強い思いに突き動かされ、危険を顧みず戦場にも赴いています。

それほどの強い思いを持った人もいるんだなぁ...人生いろいろですね。

時代の違いもあるでしょうが、24歳で初海外がアフガニスタンの戦場ってすごすぎですね。