東大生の読書ライフ

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東大生による書評ブログ。

日本語って、どんな言葉?

 

日本語の個性 (中公新書 433)

日本語の個性 (中公新書 433)

 

 英文学の研究者が、日本語の持つ固有の特徴を語る一冊。

エッセイ調で、時々脱線した内容もありますが読みやすくはあります。

ただ、40年前の本なので時代とともに言葉の使い方も変化しており、「なるほど、確かに」と納得できるというよりは「そうか、昔はそうだったんだな」と思う内容が多かったです。

 

Yes, but法

英語にも「なるほど、...ではあるが、しかし...」という言い方があって、前半の部分がかなり長文になることもあるけれども、やはり枕で、本意は、しかし...以下のところにある。英語ではこういう表現はむしろ例外的であるようだ。しかも、会話などではあまり用いられないで、文章の上での技巧のように思われる。ところが、日本語では、なるほど...ではあるが、しかし...という言い方のほうがむしろ普通である。自分の考えとは逆のことを言っている相手に対してでも、賛成できません、とのっけからいうのではなく、一応相手の顔を立てて、お考えはもっともで、私だって同じ立場にあれば同じようなことを考えるでしょうが、とはじめて、かなり相手の顔を立てる姿勢を示す。(p31ー32) 

 前にネットの記事か何かで「Yes, but法」というのを見たことがあります。

反対の意見などを言う時にストレートに否定するのではなく、まずは相手に同調し、その後本筋に入るというコミュニケーション方法です。

(日本語ではなく、英会話について書かれた記事でした。)

なので、40年前とは英会話もずいぶん変わってきたと言うことでしょうか。

確かに、最初に同調するところは日本的かもしれないですね。

 

言霊の力

 政治は未来を志向する。その点で教育によく似ている。よくなる、よくなる、と言っていれば、ほんとうによくなるかもしれない。よくしよう、よくなるはずだ、と信じることから、ことは始まるのだ。(p143)

ピグマリオン効果というものがあります。

学生に、成績関係なしに「よくできました」と言って褒めると実際に成績が良くなったというもの。

政治もそうだし、日常会話でもポジティブな言葉を発していれば考え方もポジティブになり、実際に状況が良くなることはあり得そうです。