東大生の読書ライフ

東大生の読書ライフ

東大生による書評ブログ。

自閉症を知っていますか

 

自閉くんのマニュアルがありません! (ヒューマンケアブックス)

自閉くんのマニュアルがありません! (ヒューマンケアブックス)

 

 自閉症の息子を持つお母さんが、自閉症という障害を楽しく知ってもらうため、四コマ漫画の形式で日常を綴った一冊。

この本を読んだきっかけは、たまたまYoutube自閉症の男の子(18歳くらい?)がお母さんと一緒にパンケーキを作る動画を見たことです。私は自閉症の人を実際に見たことがないので、「こんな感じなんだ...」と見入ってしまいました。動き回ってなかなか思い通りに作業を進めてくれない男の子を、急かすこともなくじっと待っているお母さんが本当にすごいと思って見ていました。

自閉症について興味が湧き、もっと知りたいと思ってこの本を手に取ったのでした。

 

ガラスのハート

 子供の泣き声が苦手な自閉くんは多いみたいです。こうちゃんは自分こそ奇声を上げて4歩ぢうるさいのに、困ったものです。(中略)ただ、こういう特徴がある人がこの世にいるということを、知っていただけるとありがたいです。たぶん、悲しい思いが、じかにハートに伝わってしまうだけなのです。(p63)

自閉症の方は、小さな子供のなく声やそれを叱る声、 くしゃみの声や「痛い」といったネガティブな言葉に敏感に反応してしまうそうです。

 

「キレる」のはなぜ?

自閉くんには、こうした聴覚過敏も多いのに、それを言葉で訴えられなくて、キーっとなってしまうんです。自閉症の方が、駅などでぶつぶついったり、奇声をあげたりしているのは、不快音や刺激からわが身を守るための防御であることも。でも、怒号で脳波が乱れるのは、普通の子どもも大人も動物も、みな一緒ですよね。(p69) 

たまに、駅などでぶつぶつ言っている人を見かけると、正直怖いと思ってしまいます。

そのような方が何の障害を持っているのかさえ知りませんでしたが、「なぜ」が分かれば恐怖心も薄れてくるし、周りの環境も自閉症に優しいように変わってくるのではないでしょうか。

 

自閉症が教えてくれた、大切なこと

元気で生きている。好きなものを食べられる。いろんなものを見たり聞いたりできる。得意なことや夢中になれることがある。それらを実感できることから生まれる、いろいろな幸せがあります。全てが平均以上でなくても輝けるし、幸せになれます。「生きているって素敵」と教えてくれます。この子たちからのメッセージを、多くの子どもに送りたいです。(p78-79) 

 自閉症のこうちゃんが、家族がまとまるきっかけになり、幸せについて深く考えるようになったといいます。

現代人はとかく他人と自分を比較して「より早く」「より多く」と気が急いてしまいがちですが、本当の幸せはもっと深いところにあるのでしょうね。

 

知ることの大切さ

この本を読んで、知的障害が前より少し身近なものになった気がします。

Youtubeで見つけた、自閉症の家族の動画も、自閉症についてもっと知ってほしいという願いから作られたのでしょう。

パンケーキ作りだけでなく、いろいろな動画があるのでまた他のも見てみたいと思います。