東大生の読書ライフ

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東大生による書評ブログ。

大企業という「不安定」な選択

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「大企業は20代でやめなさい」(大谷義武、2012年、幻冬社

 

東大経済学部卒業後、三井不動産を経て起業、武蔵コーポレーションを設立した大谷さんが、大企業からベンチャーへと逆ステップアップ論を説く。

 

大企業に依存する生き方は「不安定」

 仕事全体の規模は大きいですが、一人一人の行う仕事は非常に細分化されているのが大企業の特徴です。そのため、船から下ろされた時は大変です。今後は、小さい船を自分の力で漕いでいかなければなりません。しかし漕ぐ力(=稼ぐ力)が付いていないため、船はなかなか前に進みません。これは、この社会で生き延びる力が不足していることを意味します。(p46ー47)

 

日本の雇用制度は終身雇用制と企業内職能制度でした。ご存知の通り、終身雇用制は崩壊していますが企業内職能制度は残っているといいます。

企業内職能制度とは、その企業内でだけ使える技術です。

 

高校の時、先生に「これから求められるのは、スペシャリストではなくゼネラリストだ」と言われました。

まさしく、今の社会で強く生きられるのは会社に依存しないゼネラリストでしょう。

 

 

圧倒的な量をこなす

私は、新人社員の時に配属された部署がたまたま忙しい部署で、毎日朝の3時、4時まで仕事をするという経験をしました。当時は非常に大変で正直辛いなと思ってばかりいたのですが、今あるのはその時の経験があるからこそです。(p79) 

 

大谷さんは、新人の頃は貪欲に仕事をするべきだと言います。

しかし、本当にそうでしょうか。

一生懸命仕事をすることは大事かもしれません。

しかし、私にはどう考えても毎日朝3、4時まで仕事をするのは人間業とは思えません。

 

こういう考え方は、ちょっと嫌ですね。

数年前に起こった電通の過労死事件が衝撃的で、苦労して東大を出て大企業に入っても使い捨てられてしまうのか…と暗い気持ちになりました。

私自身は、どんなに有意義な仕事内容でも、早朝まで仕事をさせられるところには絶対に行きたくないです。

 

時流を読む

起業は「いつ・どこで・何を」やるかが非常に大切です。まず、自分の力ではどうにもならない風の向きを計算しながら、「いつ」始めるかを見極める必要があります。自分の力ではどうにもならない風の向きというのは、時流です。起業においては、時流を読むことが成功の第一歩です。(p167)

 

 実は、私も起業に興味があって少し学んでいた時期があります。

そしてなんとなくわかったのは、まだ誰もやっていない、全く新しいことをしようとしても時流に合っていないと受け入れられないということ。

 

ビジネスは既存のニーズがないと成立しませんから、いくら自分だけが問題意識を持っていてもビジネスにはなりません。

 

大谷さんも、三井不動産で修業しながら「今だ!」という時までビジネスモデルを温めていたそうです。

 

 

 

まとめ

大谷さんは子供の頃おじいちゃん子だった影響で、古き良き日本的価値観を信念として持っていらっしゃいます。

 

そのためやや右翼的な発言?もあり、ちょっと納得できない内容も少なからずありましたが、起業にかける想いやノウハウの部分は素晴らしく、起業を考えている方は一読して損はないと思います。

 

でも会社でみんなで教育勅語を音読するというのはどうなんだろう…

いくら何でも考え方が古すぎないか?女性のこと何だと思ってるの?と言いたくなってしまう部分も正直ありました。