キリスト教の入門書。行くなら宗教を知っておくべし
そろそろ夏が近づいてきましたね。
大学生の夏休みとなると、旅行や短期留学などで海外に行く方も多いことと思います。
海外に行くときにまず日本と違う点は、宗教。
日本は宗教色が強くない国ですが、海外では宗教が生活習慣に色濃く影響しているところもあります。
せっかく行くなら、その国の宗教についても理解しておいたほうが単に「日本と違う」と感じるだけでなく、なぜこのように違うのか?と自分なりに考察できてより深い経験ができると思います。
ということで、今回はキリスト教のわかりやすい入門書を紹介します。
アルフォンス・デーケン(1995年)
こんな人におすすめ:
キリスト教信者ではないが、キリスト教がどんな宗教なのか雰囲気を掴みたい
キリスト教が文化に与えた影響について知りたい
キリスト教信者がどんな思想を持っていて、どうやって接したらいいのか知りたい
分野:宗教、文化
難易度:★★★☆☆
コメント:
上智大学名誉教授でキリスト教司祭のアルフォンス・デーケン氏が、キリスト教文化圏ではない日本人に向けて、自分がキリスト教との出会いを通して経験したことをもとに、キリスト教についてやさしい言葉で解説した本。学術的な感じではなく、わかりやすい例え話も豊富にあるため読みやすい。しかし、キリスト教徒でない場合は話にちょっとついていけなくなる恐れあり。キリスト教の雰囲気や基本的な精神を知るには良い本。
筆者情報:
アルフォンス・デーケン氏は今から40年ほど前に故郷のドイツから来日し、それ以降ずっと日本で司祭として活動されています。
この本、翻訳者情報がないのにお気づきでしょうか?
そう、デーケンさんが自ら日本語で書いているんです。
すごいですよね。
私が今からドイツに行って40年暮らしたら、ドイツ語で本を出せるようになるかな…?笑
知り合いでデーケンさんの講演会に参加した人がいるのですが、聞いたところによるとデーケンさんは普段上智大学で学生相手に日本語で講義をしていて、日本語がペラペラだそうです。
印象に残った話:
この本の中に「怠りの罪」という章があります。
怠りの罪とは、要するに事なかれ主義で何もしないことも罪に値する、ということです。
これを読んで、知り合いのフランス人留学生が以前Facebookで投稿していたことを思い出しました。
彼は日本で、夜の公園で女性が横たわっているのを発見しました。
苦しそうにしていて、何かしなくてはと思いましたが周りの人は見向きもしません。
その女性に話しかけると「大丈夫」と言っています。しかし明らかに様子がおかしい。
彼は日本語があまり話せなくて、救急車の呼び方もわからず、結局何もできなかったそうです。
その時の後悔と、自分が感じたことをたどたどしい日本語で一生懸命書いて投稿していました。
(かなり前のことなので、もしかしたら事実と違う点があるかもしれません。)
「フランスでは何もしないことは罪になる」
そう彼は言っていました。
つまり、「怠りの罪」です。
フランス人の倫理にキリスト教が深く根付いているんですね。
日本人はともすると事なかれ主義になりがちですが、反省しなければならない点も多くあると思いました。
宗教を知ると、外国の倫理観、価値観や文化、習慣を理解しやすくなると思います。