東大生の読書ライフ

東大生の読書ライフ

東大生による書評ブログ。

GW何する→読書でしょ

今週のお題ゴールデンウィーク2018」

 

さて、GWも前半が終わりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

それにしても、GW半ばに挟まった微妙な平日、これは一体何なんでしょうか…

ちなみに東大は授業ありますよ。

 

今回は私がGW前半に読んだ本をご紹介したいとおも読んだ本をご紹介したいと思います。

 

プラスチックスープの海」(チャールズ・モア 2012年 NHK出版)

  

こんな人におすすめ:大量消費社会に疑問を持つ人、健康が気になる方

分野:環境、化学

難易度:★★★☆☆

コメント:

すごく考えさせられる本なので全ての人にお勧めしたいし、読んで欲しいです。

私の周りでも読んだ人が何人かいて、話題になっています。

 

筆者情報:アルガリータ海洋調査財団設立。海洋環境調査研究者。世界中で注目される市民科学者。

(大学や研究所に属さず、市民としてチームを作り、海へ出て海洋環境の研究を行っている方です。)

 

印象に残った話:

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これは、インドネシアのチタルム川です。

世界で最も汚染された川の一つと言われています。

 

インドネシアのこの地域には効果的なごみ収集システムがないため、廃棄物が川に垂れ流しになっています。

 

これらのゴミの大部分はプラスチックです。

プラスチックはやがて海へ出て、決して分解されないまま半永久的に海を漂い続けます。

 

親油性のプラスチックは有害物質を運び、魚やプランクトンに捕食され、しかし消化されず、生物濃縮が進んでいきます。

そしてその魚を人間が食べるのです。

 

感想:

人間の生活を豊かにして来たプラスチック。

しかしその代償はあまりに大きいと思いました。

 

モアさんの調査では、陸から何キロも離れた海のど真ん中でおびただしい量のプラスチックが発見され、それを魚や鳥が食べて死んでいるそうです。

 

単に生き物がかわいそう、というだけではなく、プラスチックが含む有害物質が海を汚染し、最終的には人間の食べ物も汚染しているということなのです。

 

化学メーカー(そして大学教授も)は否定していますが、プラスチックの成形過程には様々な化学物質が使われており、その一部は経年劣化により染み出してしまうのです。

 

例えばペットボトルはポリエチレンテレフタラート(略してPET)というプラスチックで作られていますが、実は使われているのはPETだけではありません。

プラスチックには様々な性質を与えるために多様な添加剤を加えていて、その一つ一つまで企業に公表する義務はなく、企業秘密となっています。

 

そしてそれらの物質、例えばビスフェノールAには体へ悪影響が確認され、かつ人間の尿から検出されているのです。

自然界には存在しない物質なので、暴露の原因はプラスチックであると考えられています。

 

これは深刻な問題ですが、どうすればいいのか。

ごみ収集システムの整備された日本で関係あることなのか。

 

私は関係あると思います。

例えば、ポリ袋や風船は軽くてどこまでも飛ばされて行きます。

そして海に行くのです。

 

ゴミをしっかり出していても、一部はロスしてしまうそうです。

というか、全くロスせず、100%ゴミ処理場に行くとは断言できないですよね。

公園のゴミ箱なんて、溢れても誰も見ていないですよね。

 

これだけグローバル化しているなか、日本だけがということはないと思います。

途上国でゴミ処理システムを完備するのに後何年、そしていくらのお金がかかるのでしょう。

 

そして、海にばらまいているプラスチックゴミは本当に人間の生活にとって必要なものだったのでしょうか。

三分の一は食品包装用パッケージだといいます。

日本のスーパーの食品を見てもプラスチックにまみれていますよね。

海外ではパッケージのないスーパーがあって、自分の容器で買うところもあります。(一昔前の日本のようですね)

そういう買い方は「豊か」ではないのでしょうか。

リサイクルやゴミ処理にかかるコスト、環境に与える影響をもってしても、手ぶらで買い物に行きあとで全部捨てる便利さの方がメリットが大きいのでしょうか。

正直、私は化学メーカーが儲たいだけの仕組みだと思います。

 

長くなってしまいましたが、この問題についてあなたにも考えて欲しくて、つい熱弁してしまいました。

ぜひ、読んでみてください。

 

プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する

 

そして、モアさんののTEDトークはこちら。

興味を持っていただけましたらぜひ、ご覧になって下さい。