東大生の読書ライフ

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東大生による書評ブログ。

マネジメントを読んでみた 1日目その2

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「マネジメント」の続きです。

どんどんいきますよ〜

 

p16

企業の目的

企業の目的は、 顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングイノベーションである。

 

ドラッガーによると、企業の存在意義は顧客にあります。

顧客のニーズに応えることこそが、企業の存在意義なのです。

 

しかしここでは、顧客の「創造」とあります。

つまり、既存の顕在的ニーズのみならず、新しいものを生み出し続けるとともに、その潜在的ニーズを発掘し、それに応えていかなければならない、ということです。

 

例えば、パソコンがまだ世に出ていなかった時代、イノベーションによりパソコンを製造する技術を企業が獲得していても、まだ誰も使っていないし、見たことも聞いたこともない「パソコン」を欲しがる人がいたとは考えにくいです。

 

では、パソコンにニーズはない、ということになるのでしょうか。

 

パソコンのことは知らなくても「仕事を効率化したい」というニーズがあります。

これが、潜在的ニーズです。

企業はそこにアプローチし、パソコンを供給することで顧客の問題を解決します。

ドラッガーが言っていることは、こういうことなのだと思います。

 

しかし、この前読んだ「あなたはこうしてダマされる」ロバート・レヴィーン

では、ありとあらゆる方法で企業(販売員)が顧客を「創造」しようとする様が観察されていました。 

utbookworm.hatenablog.com

 

潜在的ニーズを捉える」って、つまり「あれ必要でしょ、これも必要でしょ」とお客さんにモノを差し出すことなのでしょうか?

人間の欲望は、掘れば掘るほどキリがなく出てくるような気もします。

 

ドラッガーの言う「マーケティング」の定義は、何なのでしょうか。

p17

(中略)真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち現実、欲求、価値からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問う。「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。

 

つまり、ドラッガーの言うマーケティングとは「販売促進」ではなく、むしろ販売促進などしなくても勝手に製品やサービスが売れるようにすることです。

真に顧客のニーズに応えるものができたら、促進する必要性はもはやないですものね。

 

これは、「あなたはこうしてダマされる」で販売員たちがやっていたこととは随分違うような気がします。

ドラッガーも多くの企業でマネジメントが実践されていないと言っています。

 

私自身、「マーケティング」と言う言葉の意味は、商品を売る手法のことだと思っていました。

実際、「マーケティング」の定義はたくさんあり、かなり幅のある概念のようです。

顧客満足を軸に『売れる仕組み』を考える活動

(by グロービスのMBA経営辞典

16のマーケティングの定義を集めました | カイロスのマーケティングブログ

 

これとかどうでしょう。

「売れる仕組み」と言われると、ちょっとグレーな感じがしませんか。

 

製品がいいから売れるのか、プロモーションがうまいから売れるのか。

ドラッガーは、売り方を工夫するのではなく、製品自体の本質的な価値を高めるべしと説いています。

 

広告や販売員の手法を見ると、潜在的ニーズを発掘しようとしているのか、押し売りしようとしているのかわからなくなります。

 

実際、その境目は非常に曖昧なのではないでしょうか。

企業側としては、その企業の「売れる仕組み」上都合の良いような顧客像をいくらでも創造できるような気がします。

人間の欲求も実はとらえどころがなくて、「真の顧客満足」は絶対的なものではなく、常に揺れ動いていると思います。

 

ドラッガーを読んでいると、救われるような気持ちになりますが、現実はこのように進んでいない気もして何だか複雑な気分です。