日本語って、どんな言葉?
英文学の研究者が、日本語の持つ固有の特徴を語る一冊。
エッセイ調で、時々脱線した内容もありますが読みやすくはあります。
ただ、40年前の本なので時代とともに言葉の使い方も変化しており、「なるほど、確かに」と納得できるというよりは「そうか、昔はそうだったんだな」と思う内容が多かったです。
Yes, but法
英語にも「なるほど、...ではあるが、しかし...」という言い方があって、前半の部分がかなり長文になることもあるけれども、やはり枕で、本意は、しかし...以下のところにある。英語ではこういう表現はむしろ例外的であるようだ。しかも、会話などではあまり用いられないで、文章の上での技巧のように思われる。ところが、日本語では、なるほど...ではあるが、しかし...という言い方のほうがむしろ普通である。自分の考えとは逆のことを言っている相手に対してでも、賛成できません、とのっけからいうのではなく、一応相手の顔を立てて、お考えはもっともで、私だって同じ立場にあれば同じようなことを考えるでしょうが、とはじめて、かなり相手の顔を立てる姿勢を示す。(p31ー32)
前にネットの記事か何かで「Yes, but法」というのを見たことがあります。
反対の意見などを言う時にストレートに否定するのではなく、まずは相手に同調し、その後本筋に入るというコミュニケーション方法です。
(日本語ではなく、英会話について書かれた記事でした。)
なので、40年前とは英会話もずいぶん変わってきたと言うことでしょうか。
確かに、最初に同調するところは日本的かもしれないですね。
言霊の力
政治は未来を志向する。その点で教育によく似ている。よくなる、よくなる、と言っていれば、ほんとうによくなるかもしれない。よくしよう、よくなるはずだ、と信じることから、ことは始まるのだ。(p143)
ピグマリオン効果というものがあります。
学生に、成績関係なしに「よくできました」と言って褒めると実際に成績が良くなったというもの。
政治もそうだし、日常会話でもポジティブな言葉を発していれば考え方もポジティブになり、実際に状況が良くなることはあり得そうです。
自閉症を知っていますか
自閉くんのマニュアルがありません! (ヒューマンケアブックス)
- 作者: はじめ,岡野ゆかり
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2018/08/28
- メディア: 単行本
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自閉症の息子を持つお母さんが、自閉症という障害を楽しく知ってもらうため、四コマ漫画の形式で日常を綴った一冊。
この本を読んだきっかけは、たまたまYoutubeで自閉症の男の子(18歳くらい?)がお母さんと一緒にパンケーキを作る動画を見たことです。私は自閉症の人を実際に見たことがないので、「こんな感じなんだ...」と見入ってしまいました。動き回ってなかなか思い通りに作業を進めてくれない男の子を、急かすこともなくじっと待っているお母さんが本当にすごいと思って見ていました。
自閉症について興味が湧き、もっと知りたいと思ってこの本を手に取ったのでした。
ガラスのハート
子供の泣き声が苦手な自閉くんは多いみたいです。こうちゃんは自分こそ奇声を上げて4歩ぢうるさいのに、困ったものです。(中略)ただ、こういう特徴がある人がこの世にいるということを、知っていただけるとありがたいです。たぶん、悲しい思いが、じかにハートに伝わってしまうだけなのです。(p63)
自閉症の方は、小さな子供のなく声やそれを叱る声、 くしゃみの声や「痛い」といったネガティブな言葉に敏感に反応してしまうそうです。
「キレる」のはなぜ?
自閉くんには、こうした聴覚過敏も多いのに、それを言葉で訴えられなくて、キーっとなってしまうんです。自閉症の方が、駅などでぶつぶついったり、奇声をあげたりしているのは、不快音や刺激からわが身を守るための防御であることも。でも、怒号で脳波が乱れるのは、普通の子どもも大人も動物も、みな一緒ですよね。(p69)
たまに、駅などでぶつぶつ言っている人を見かけると、正直怖いと思ってしまいます。
そのような方が何の障害を持っているのかさえ知りませんでしたが、「なぜ」が分かれば恐怖心も薄れてくるし、周りの環境も自閉症に優しいように変わってくるのではないでしょうか。
自閉症が教えてくれた、大切なこと
元気で生きている。好きなものを食べられる。いろんなものを見たり聞いたりできる。得意なことや夢中になれることがある。それらを実感できることから生まれる、いろいろな幸せがあります。全てが平均以上でなくても輝けるし、幸せになれます。「生きているって素敵」と教えてくれます。この子たちからのメッセージを、多くの子どもに送りたいです。(p78-79)
自閉症のこうちゃんが、家族がまとまるきっかけになり、幸せについて深く考えるようになったといいます。
現代人はとかく他人と自分を比較して「より早く」「より多く」と気が急いてしまいがちですが、本当の幸せはもっと深いところにあるのでしょうね。
知ることの大切さ
この本を読んで、知的障害が前より少し身近なものになった気がします。
Youtubeで見つけた、自閉症の家族の動画も、自閉症についてもっと知ってほしいという願いから作られたのでしょう。
パンケーキ作りだけでなく、いろいろな動画があるのでまた他のも見てみたいと思います。
食文化大国・中国
私は中国に留学していたのですが、中国は美味しいものがたくさんあるし、中国人は食に対するこだわりが強い。
この本は石毛先生と中国・北京出身の賈先生が対話する形式で、中国社会の変化を「その時、何を食べていたか?」という視点で解説していきます。
途中、農家の朝食などいろいろな食べ物とその作り方が出てきて、食欲をそそる一冊でもあります。
「茶(ちゃ、Tea)」の語源
日本のように中国と近いところですとか、茶そのものが陸路を経由して運ばれたところではチャといいます。ロシアや西アジアのように、キャラバンで中国から茶が運ばれた地方もチャ系の言語です。それに対して、ヨーロッパ人が茶を知ったのは大変新しいことで、十七世紀以後のことです。以後、中国から西方へ、船で運ばれて茶が伝わったところはティーになるわけです。ティー系の発音をする福建省の厦門(アモイ)が茶の輸出港であったことに関係を持つのでしょう。福建語では茶をテーと発音しますからね。(p188)
これ、雑学として面白いですね。 いろんな人に話そうっと。
薬膳:食を薬とする
中国では、ふだん食するすべての食べ物は薬品としての効果をもっているという分類をして、理論づけていますが、その中で、薬を三つに分類して、「上薬」「中薬」「下薬」といっていますね。(中略) 「上薬」、最高の薬というのは、日常の食べ物から摂るものだという思想をつくりだしています。(p224)
いわゆる食事療法ですね。
中国にいた時、20歳くらいの友達が体調不良で病院から食事療法を受けていると言っているのを聞いて、日本ではあまり一般的ではないので(知らないだけ?)少し驚きました。
中国では、薬を使わず食事療法で治す、という選択肢が普通にあるそうです。
さすが薬膳の国、中国だなと思いました。
薬には副作用もあるので、飲まずに治せるならそれが一番いいですよね。